教派神道(宗派神道)とは?
「教派神道」は、明治時代に神道の教派(同一宗教の派閥)として公認された、教団の総称です。
教派神道までのいきさつ
明治政府は、天皇を中心とした新しい国家体制を築くことを目指し、天皇が日本を支配する神としての地位を持つものとし、その天皇が祀る祖先を源流とする「神道」を日本国の指定宗教としました。
そして、これを日本政府の根幹として「祭政一致の国家」とする方針を示しました。
これにより、古代にあった太政官・神祇官という行政機関を復活させましたが、明治4年(1871年)8月、神祇官は神祇省に降格します。
そして、明治5年3月14日(1872年4月21日)神祇官は廃止されます。
代わりに神祇省と民部省社寺掛を併合する形で「教部省」が設置されました。
この教部省が、大教宣布(神道国教化)のために「大教院」という組織を作ります。
しかし、この大教院で活動する「教導職」と呼ばれた人々には、神官・神職・僧侶などの宗教家や落語家や歌人・俳人など多種多様が任命されたため、意見が合わず空中分解します。
こうしたことで、明治政府は神道への直接的な関与から、徐々に手を引き始めました。
そして明治8年(西暦1875年)4月30日「神仏合同布教禁止の令」が発せられ、同年5月3日大教院は解散されます。
これにより、神官教導職と神道系宗教の両教職者たちが、「神道事務局」という神道の半公的機関を立ち上げたのでした。
この神道事務局に公認された独立教派を「教派神道」といいます。
教派神道は、総計14の神道系教団でしたが1899年(明治32年)神宮教が離脱したため、その後「神道十三派」とも言われました。
教派神道
教派神道とは、神道を基礎としながらも、独自の教義や組織、儀式などを持つ新宗教の総称です。
教派神道は、江戸時代末期から現代にかけて、日本社会の変化や人々の宗教的ニーズに応える形で多数誕生しました。
教派神道には、今では約2000もの宗教団体がありますが、その中でも特に有名なものには、天理教・金光教・黒住教・大本・出口王仁三郎などがあります。
教派神道の発展
江戸時代
末期幕末の動乱や明治維新の混乱に伴って、国家神道や仏教などの既存の宗教に不満を持つ人々が増えました。
そこで、民間信仰や神秘主義、霊感や神示などを基にした新たな宗教運動が起こりました。
これらは「開拓神道」と呼ばれることもあります。
明治時代
明治政府は国家統合のために国家神道を推進しましたが、これは他の宗教団体に対して弾圧や制限を加えることを意味しました。
しかし、これに反発する人々も多く、国家神道や仏教とは異なる独自の神道を主張する宗教団体が増えました。
これらは「抵抗神道」と呼ばれることもあります。
大正・昭和時代
第一次世界大戦や大正デモクラシー、昭和恐慌などによって、日本社会は大きな変化や危機に直面しました。
そこで、人々は精神的な安定や幸福を求めて新たな宗教に傾倒しました。
これらは「拡張神道」と呼ばれることもあります。
戦後
第二次世界大戦後、日本は占領下に置かれて宗教的自由が保障されました。
これによって、多くの新宗教団体が登場しました。
これらは「現代神道」と呼ばれることもあります。
教派神道の特徴
神道的要素
教派神道は、神道を基礎としていますが、それぞれが独自の解釈や発展を行っています。
教派神道には、神道の神々や神話、儀式や祭りなどの要素が見られますが、それらは教派神道固有の教義や組織、目的に合わせて変化しています。
外来思想の影響
教派神道は、仏教や儒教、キリスト教やイスラム教などの外来思想にも影響を受けています。
教派神道には、外来思想の概念や用語、文献や絵画などが取り入れられていますが、それらは教派神道独自の形に変容しています。
創始者の重要性
教派神道は、ほとんどが個人的な霊感や神示によって創始されたものです。
そのため、創始者は教派神道において非常に重要な存在となっています。
創始者は、教義や組織、儀式などを定めたり、信者や社会に影響を与えたりします。
また、創始者は、自らが神や仏や聖人と称したり、信者からそう呼ばれたりすることもあります。
教派神道の代表的な宗教団体
教派神道には、約2000もの宗教団体がありますが、その中でも特に有名なものには、以下のようなものがあります。
天理教
1838年に中山みきが創始した宗教団体です。
天理教は、神道と仏教を融合させた教義を持ち、人間の本性は神であるという「本心」の覚醒を目指します。
天理教は、日本最大の新宗教であり、国内外に約1700万人の信者を持ちます。
金光教
1859年に川田小一郎が創始した宗教団体です。
金光教は、神道と儒教を融合させた教義を持ち、人間の理性と道徳を重視します。
金光教は、日本最古の新宗教であり、国内外に約300万人の信者を持ちます。
黒住教
1871年に黒住宗忠が創始した宗教団体です。
黒住教は、神道とキリスト教を融合させた教義を持ち、人間の罪と贖罪(しょくざい)を説きます。
黒住教は、日本最初のキリスト教系新宗教であり、国内外に約100万人の信者を持ちます。
大本
1892年に出口なおが創始した宗教団体です。
大本は、神道と仏教を融合させた教義を持ち、人間の霊性と平和を求めます。
大本は、日本最初の霊感系新宗教であり、国内外に約50万人の信者を持ちます。
出口王仁三郎
1947年に出口王仁三郎が創始した宗教団体です。
出口王仁三郎は、神道と儒教を融合させた教義を持ち、人間の才能と成功を促します。
出口王仁三郎は、日本最初の成功哲学系新宗教であり、国内外に約30万人の信者を持ちます。
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